タイトル名
 
メーカー、ブランド名   総プレイ時間  

乙女理論と

その周辺 Ecole

de Paris

 
Navel   20 〜 25 時間  
                                           

シナリオ
  
グラフィック    音楽  
(24/30)    B+(15/20)    (16/20)  

キャラクター
  
総合点数    個人的評価  
(24/30)    B+(79)    B+   


初めに(前書き)

このレビューは、乙女理論と

その周辺 Ecole de Paris の

修正パッチを入れて Ver1.2 の

状態でプレイして、それを元に

書いています。そのため

アドペントディスク無しの状態で

プレイした評価と言う事を

まずご理解下さい。また

月に寄りそう乙女の作法

(以降、このレビューでは

前作と書かれていた場合

月に寄りそう乙女の作法 の

事です)の ネタバレ

一部含まれています。これらの

事情をご理解された上、納得

された方に読んでもらえれば

幸いです。


総評

前作と同様に全体的なバランスは

優れていると思います。ただ

今作では妹のりそなと大蔵家を

取り巻く環境が話の 中心

なっていると感じました。

そのため、妹のりそなをプレイ

する人が どう感じるか

よって評価が大きく変わると

思います。端的に言えば

りそなが好きな人には

素晴らしい出来 逆に

そこまでりそなが好きじゃない

人には 及第点 より少し上

ぐらいの出来と言った所になると

思います。個人的には、りそなの

個別ルートでキチンと

話のテーマと表現したい事

シナリオで描写しながら

効果的に音楽と演出を使い

りそなの魅力を十分に引き出して

いたので、優れた出来だと言え

ますが、他の個別ルートの出来

(メリルの個別ルート以外)や

キャラクターの見せ方などの

他の事情を考慮して最終的な

評価としてはこのような形に

なりました。


あらすじとプレイについて

簡単に書けば 前作のBADENDとも

言える八千代に女装がばれて

しまい桜小路家を追い出されて

兄の衣遠に再び拾われる。

ここから本作の話が

始まります。主人公の大蔵遊星は

妹のりそなと再会し、自分の夢と

彼女の願いを叶えるために再び

籠の中から飛び出し、小倉朝日と

なり、りそなのメイドとして

「フィリア女学院」の

「パリ本校」に通う事になる。

しかし 2 人の前に外国人と

しての洗礼や大蔵家の事情など

様々な問題が立ちはだかる。

はたして兄妹は無事に学院生活を

送る事が出来るのか?

と言う感じです。


総プレイ時間は 20 〜 25 時間

ぐらいです。共通ルートが

5 時間前後で個別ルートは

りそなが 3 時間 〜 3 時間半。

メリルが 2 時間前後です。

この他に、ブリュエットの個別

ルートと 2 種類のエンディング

(以降、このレビューでは

ディートリンデENDと大蔵家

ENDと書きます)がありますが

一部、りそなの個別ルートと

内容がほぼ同じ部分があります。

その部分を飛ばすと

ブリュエットの個別ルートは

30 分前後。ディートリンデ

ENDと大蔵家ENDの方は

10分前後となっています。共通

ルートが割と長めなので、その

部分を飛ばせば、 5 時間以上

総プレイ時間を短く出来ます。

攻略順についてなんですが

りそなの個別ルートを

最後にして下さい 後は

自由で良いと思います。

ブリュエッド→大蔵家END

ディートリンデEND→メリル

と進めて、最後に りそな で

終わると言うのを一応オススメと

しておきますが前に書いた様に

りそなで最後を終われば後は

自由で良いです。


シナリオ

共通ルートでは 高速でのルナと

出会って現在へと至るまでの

過程を回想した後、妹のりそなと

一緒に「フィリア女学院」の

「パリ本校」に通いながら様々な

困難の中、妹を守る決意と奮闘を

描いています。個別ルートでは

大蔵家の様々な事情が主人公達を

襲う中で守るべき人のために時

には非情な決断をしながらも

突き進んでいく様子を描いて

います。


前作と同様に服飾関連の話も

多いですが、今作では

大蔵家の内情とりそなの成長

ここを中心に話が進んでいると

思います。その集大成と言える

のがりそなの個別ルートです。

周囲の過剰なまでの期待や両親の

歪な愛。さらに大蔵家の裏の内情。

これらの周りを取り巻く環境に

よって引きこもりがちになり

自分の世界の中に閉じこもって

しまった主人公の妹、りそな。

その、まるて幾重にも重なった

強固な繭から完全に脱出して

新たな世界に羽ばたく綺麗な蝶に

なるために、籠の中の鳥の

主人公は以前の心温まる幸せな

ルナとの主従関係であった記憶を

胸に抱きながら籠の中の鳥から

抜け出して、妹のりそなを支え

ながら自身の夢や新たな目標に

向かって突き進んでいく内容と

なっています。序盤の共通

ルートの時点から少しずつ成長

していくりそな。途中で

くじけそうになった時には

そっと手を差し伸べる主人公。

傍から見れば理想の主従である

2 人の兄妹。そして強力な悪意が

兄妹を襲った所でオープニングに

入ります。それからの個別ルート

でも様々な悪意が兄妹を襲い

2 人の心が完全に折れかけた所での

あの演出は素晴らしかったです

そして、それからも様々な悪意や

困難に立ち向かいながら、兄妹は

パリの地で 1 つの結果と結末を

掴み取る。この、りそなの個別

ルートは、内容や演出に加えて

音楽やキャラクターに至る

まで、全てが高水準で

本当に素晴らしい出来 だと

言えます。それと比較すると

多少は落ちますが、メリルの個別

ルートも中々の出来だと思います。

こちらは、大蔵家の内情を中心に

話が進んで行きます。最後こそ

若干強引に終わらせましたが

様々な伏線を上手く消化しながら

主人公とメリルの 2 人が力を

合わせて、色んな人の力を借りて

あの結末を掴み取ったと

言えますね。これら 2 つの個別

ルートと比べると他の個別

ルートは良かったとは言い難い

出来でしたね。まあ

ディートリンデENDと

大蔵家ENDは実際の所

おまけみたいな物なので仕方が

ないとしても、ブリュエットの

個別ルートはもう少し、量を

増やしてしっかりと書いて

欲しかったですね。一応

パッケージヒロインですしね。

ブリュエットの個別ルートが

しっかりとした出来だったら

シナリオの評価は A+

なっていたでしょうね。りそなと

メリルの 2 人の個別ルート

だけの評価なら十分にその

ラインでしたから。


グラフィック

前作と比べると一枚絵の枚数は

減っているものの、グラフィック

自体のクオリティーは上がって

いると思います。そして

相変わらず主人公の小倉朝日の

可愛さを立ち絵と一枚絵で表現

出来ていたと思います。私の

一番のお気に入りの一枚絵は

一枚絵自体が ネタバレ

なってしまうので詳しくは

書けませんが、あの桜の木の下に

現れた彼女は、とても神秘的で

まさしく 絵になる美少女

言った所ですね。


音楽

オープニングの Fragile も

良い曲でしたし、最初の鳥籠の

中の鳥が映るシーンから始まり

最後の空の鳥籠と開け放たれた

窓が映る演出も、中々良かったと

思います。また

Sweet Heart Cherry も

りそなの個別ルートで流れた時は

場面を盛り上がるのに一役買って

いたと思います。それでも

DESIR には敵いませんけど。

この曲は前作のオープニング

だった DESIRE の

アレンジなんですが

最高のタイミング で流れ

ましたね。この曲の使い方は

素晴らしい と言えます。


キャラクター

本作の一番好きな ヒロイン

流石にりそな以外を選ぶ勇気は

私には無いです。ブリュエットも

メリルも可愛いとは思いますが

メリルの小倉朝日が大蔵遊星と

発覚した時の、ある意味で常人

とはかけ離れたあの反応を見て

しまうと、どうしても好きに

なれなかったですね。別に嫌いに

なったりはしませんが、もう少し

葛藤などがあっても良いんじゃ

ないかと思います。まあ、それが

メリルと言うキャラクターの本質

でもあり魅力でもあると私は

思うので、それが好きな人に

とっては彼女は魅力的に見えると

思いますが。ブリュエットは

単純にシナリオ内の尺不足の

影響もあって、互いに好きに

なっていく過程や魅力を表現する

機会がりそなやメリルより

少なかった関係でそこまで好きに

なれなかったです。この様な

事情もあり本作の一番好きな

ヒロインは、りそなですね。

最初から重度のブラコンで

積極的な発言等はするものの

実際には口だけで相手に行動を

起こされると、途端に引いて

しまうと言う自他共に認める

へタレですが、そんな彼女が

主人公と一緒にいるために

今までの自分を捨てて、必死に

努力をして魅力的な女性に

なろうとする姿を見て何も

感じない人は、いないと

思います(彼女が好きか嫌いかは

別として)また、共通ルート

でも個別ルートでも真っ直ぐな

好意や感情を向けられて

照れたり、あたふたしたりする

姿は純粋に 可愛かった です。

次に主人公についてですが

相変わらずの 可愛さ

様々な人を魅了していきます。

それは男性女性を問わずですね

(別に全てが恋愛感情だけでは

無いですが)そんな主人公も

悪意や善意、打算や嘘と言った

様々な経験を経て、守られた

籠の中の鳥が、世界へ羽ばたく

鳥となって行くのを見ていると

こんなに良い子が報われて本当に

良かった。と心から思いました。

最後にサブキャラクターに

ついてですが、これは全体を

通じては駿河が、りそなの個別

ルートに関しては、衣遠が

それぞれ良い役割を果たして

いましたね。本当は、もう 1 人

重要な役目を果たした

キャラクターがいるんですが

彼女の存在は、あまり多くを

語ると ネタバレ になって

しまうので一言だけ。彼女が

いたからこそ主人公は様々な

結果を自分の意志で掴み取る

事ができたのだと思います。

それから駿河と衣遠について

ですが、前者はプレイヤーには

早々と正体が明かされますが

主人公達はそんな事は知らずに

彼と会話を重ねていきます。

そして彼の正体が明かされた時に

主人公はどう言った行動を

取るのか?ここも 1 つの

見どころですね。そして後者は

りそなの個別ルートで前作の

印象がガラッと変わりますね。

衣遠の、考え、野望、境遇、過去

これらを全て知った時に、始めて

衣遠と言う 1 人の人間が少し

理解出来る様になると思います

(納得出来たり好感を持てるかは

また別の問題ですが)


Hシーン

回想シーンに、りそな、メリル

ブリュエット、の 3 人が 2 回

ずつ収録されています。回数も

多くはありませんし、プレイに

ついても、せいぜいフェラ

ぐらいで、後は、小倉朝日を

少々責めるぐらいのシーンが

いくつかあるぐらいで、前作と

比較すると、Hシーンは薄く

なっていると言っていいと

思います。


最後に一言

何が正史とかじゃない。

答えはプレイする人の

数だけある。と言ってみる




このレビューに関することは

こちらのweb拍手からどうぞ。





Copyright © 2016 心と幻をこえて All rights reserved.