タイトル名
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メーカー、ブランド名
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総プレイ時間
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屋上の百合霊さん フルコーラス
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Liar-soft
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15 〜 20 時間
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シナリオ
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グラフィック
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音楽
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キャラクター
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総合点数
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個人的評価
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A+(26/30)
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B+(15/20)
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A(16/20)
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S(27/30)
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A(84)
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B
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初めに(前書き)
今回のレビューは 2012 年に発売された 屋上の百合霊 を
フルボイス化してイベントCGの追加や挿入歌を上手に劇中に
使用したリメイク版。屋上の百合霊 フルコーラス の方の
レビューとなっています。個人的に今回は相当悩みながら
完成させた物で、他のレビューより迷走している可能性が
あります。また、極力核心に迫る ネタバレ は避けるように
していますが、このサイトの他のレビューより ネタバレ が
多いかもしれません。後、オープニング曲の中身と作中の
最初の月の内容は容赦なく書きます。それらの事を理解
していただいた上で納得された方にお読みいただけると
幸いです。
総評
2023 年に書いたレビューの中では一番評価がしづらい
ゲームですね。正直な所。ラストの展開まではシナリオ
キャラクター。共に A 評価で個人的評価は C+ ぐらいに
しようと思ってました。しかしラストの展開の後に感じた
爽やかな 読破感 (この表現で伝わるかな?)に加えてその
後のアフター的な内容も考えて、この総合点数と個人的
評価になりました。音楽の部分でもエンディング曲への
繋ぎ方と歌詞が良かったですね。グラフィックについても
悪くはなかったと思います。むしろこのグラフィックだから
こその良さと悪さがあります。これはグラフィックの方で
詳しく書きます。内容を含めて間違いなく万人におススメ
出来るゲームではないですけど、刺さる人には間違いなく
刺さるゲームであることは間違いなく、私もシナリオ面で
引っ掛かった部分がなければ、総合評価で 名作 になって
いた可能性のあるゲームでしたね。
あらすじとプレイについて
簡単に書くと 山城跡に建てられた商科九ツ星女子学園に
通う主人公の遠見結奈はある事情をきっかけに人付き合いを
最低限にして他者との関わり合いを避けていた。そんな彼女が
学園の屋上にいた 2 人の地縛霊の少女と出逢う。彼女たちは
百合な想いを抱えて亡くなり、出会い、恋人となっていた。
そんな 2 人の百合霊が見えてしまったがために主人公である
結奈が彼女たちの「切なる願い」を叶えるために秘めし恋に
悩む乙女達を手助けして学園内に百合カップルを増やす
手伝いをしていく…(一部公式サイトより抜粋)といった
感じですね。
選択肢はありますが基本は一本道のストーリーで、総プレイ
時間は 15 〜 20 時間です。スケジュール帳という独自の
要素があり、日付にあるエピソートを閲覧して話が進んで
いくスタイルをとっています。本作のエンディング曲を見た
後にアフターストーリー的な物も開放されていくのですが
そちらを全て見るために、全ての選択肢を選んでおく必要が
あります。しかし、スケジュール帳から好きなエピソートを
閲覧出来ますので、最初は選択肢は気にせずに進めて大丈夫
です。
シナリオ
基本は一本道のストーリーで、共通ルートや個別ルートと
いった区切りはないのですが主人公の結奈がメインで描写
されている部分がメインで他のキャラクター視点で描かれて
いる部分がサブという形で分ける事が出来ます。基本的に
メイン部分を全て見た後にサブの部分が開放されて、それを
全て見れば次に進む形で進んでいきます。
何から書けばいいか悩みますが、そうですね…まず最初は
軽い百合ではないという事を 意識して欲しい という事です。
主人公の結奈が屋上で出会った 2 人の地縛霊の少女である
榎木サチと永谷恵は既に恋人同士の関係です。その状態の
彼女たちの望みが「悔い無く素晴らしい初体験」だという
時点で、心だけでなく肉体的にも繋がりたいという望みを
抱いている訳です。これをどう感じるかは人それぞれだと
思いますが、少なくとも万人受けはしないと私は思います。
ただ、本作はそんな百合というジャンルに収めてしまうには
もったいない魅力的なシナリオだと自信をもって言えます。
色々と魅力的な所はありますが個人的に一番の魅力は結奈の
変化と成長 の物語としての完成度の高さです。プレイヤー
からすれば序盤の彼女は人付き合いが苦手だが、お人好しな
印象を受けると思います。しかし、物語が進むほどに彼女の
弱さや脆さ が描写されていきます。しかし、そんな部分も
様々な人との交流を経て少しづつ克服していくように感じ
ました。そして終盤に彼女はとある問題に直面します。この
場面では今までに彼女が手助けをしてきた面々との会話や
彼女が本作開始前から唯一と言っていいほど仲良くしていた
友人に助けられながら問題に答えを出します。ここまでの
流れが本当によく出来ていましたね。ここは高く評価して
います。後は百合の部分にも評価出来る部分がありました。
私は百合に詳しいわけではないのですが、本作では学園の
一年生と三年生。または同級生同士。後は教師と学園生と
いったカップルがいますが、その関係性は様々です。最初は
ただの憧れからいつしか恋心へと変わり告白したり、全然
意識していなかったのに相手から告白されてから関係性を
考えたり、または本編開始時から恋人関係で、本編中にその
関係が変化しかねない問題がおこったりと、様々な変化が
ありますが、それらを主人公の結奈の視点だけではなくて
当事者達の視点で描写しているため、百合への賛否は一旦
置いておくとして 恋愛描写 として見た場合は十分に満足
出来る内容だと言えますね。そして物語の締め方。ここも
評価したいです。正直に言えば、そこに至るまでの流れは
多少は文句を言いたい場面がなかったわけではないです。
しかし、主人公の結奈の問題の答えと、それを絡めながら
2 人の地縛霊の少女。榎木サチと永谷恵の終わり方は正直
きれいでしたし、その前のシーンからは想像出来ないほど
爽やかさと 読破感 を感じましたね。さて、ここまでかなり
高い評価をしてきましたが、不満点が全くない訳ではない
です。その内の 1 つが百合を 明確に否定 する存在が一人も
居なかった所ですね。まあ、それをしてしまうとゲームと
して成り立たなくなってしまうかもしれませんが、せめて
最初の内だけでも否定から入って欲しかったんですよね。
百合には多種多様な考え方があるはずで、否定的な考え方も
あっても良かったはずです。ですがどうしてもこのゲーム
では肯定的な考え方が多いように思います。その辺りでも
多様性があっても良かったのではないでしょうか?
グラフィック
こういう表現で伝わるか不安ですが、今風の萌え萌えして
いるような絵ではなくて、どちらかと言うとマンガ的な絵
とでも言えばいいんですかね?ただ、これが良くも悪くも
このゲームには合っていたと思います。Hシーンなどでの
生々しさ は萌え萌えしているような絵では、おそらく表現
出来なかったと思いますね。ただし 生々しさ というのは
ますます人を選ぶような気はします。個人的には立ち絵での
主人公の結奈の振り向きながらエプロンを付けている場面が
可愛かったですね。
音楽
オープニング曲である Girl's spirit -オトメノキモチ- や
エンディング曲の a new day. も良い曲ですが、本編の
学園祭でのシーンで流れた AA愛! が一番印象に残って
います。この曲は作中に登場するキャラクターの 1 人である
陽香が歌っているのですが、陽香の CV の人がオープニング
曲とエンディング曲も歌っている人でそれ以外にもエロゲの
色んな曲を歌っている人で、とても上手です。そして陽香と
いうキャラクターがとある人の事を考えながら、試行錯誤を
繰り返して思い浮かぶ言葉を並べて完成した歌詞だからこそ
響く人には響く物になったのでしょうね。BGM に関しては
マイ・テリトリー や シロジョ に 一里塚 が印象に
残っていますね。特に 一里塚 の穏やかさの中に感じる
切ない感じは最初の方の結奈のイメージと重なる部分があり
個人的にはこの BGM が自然に結奈のイメージソングだと
思っていましたね。
キャラクター
はい。キャラクターについてですが登場人物が多く、様々な
カップルが登場する関係上、印象が薄くなるキャラクターが
全くいないとまでは言いませんが、かなり少ないので今回は
主人公の結奈と私が気になったキャラクターの 3 人のみを
書く形とさせてください。では結奈は一番最後に回しまして
まず 1 人目ですが、三山 音七 ですね。彼女は割と序盤の
方から登場しますが、終盤に至るまで所々で結奈に対しての
関わり方が良いんですよね。深くしっかりと付き合うのでは
なくて、要所要所で少しだけ鋭い発言をして結奈の助けに
なったりしています。彼女は普段はボーっとしていていつも
眠そうにしており、あんまりやる気はなさそうにみえますが
大切な友人が本当に大変な時は自身の気持ちや思いを力強く
話せる所はとても良かったです。次に 2 人目ですがタイトル
にもなっている百合霊の 1 人。永谷 恵 です。まあ、彼女
には言いたい事がたくさんあります。シナリオの序盤で半ば
強引に結奈に協力をさせる事を約束させた後も自分の意見を
結構強引に押し付けてきます。正直な所、私は彼女の発言に
色々と思う所がありました。一応序盤から中盤に入る辺りで
彼女視点での描写が入り、納得は全然出来ませんけど彼女の
考え方の一部は理解出来ました。それでも、その後の数々の
発言はやっぱり納得は出来なかったです。そして極まった
のが、学園祭で陽香に結奈を協力させた件ですね。あれは
シナリオ的にはしょうがない所もありますが、本来の約束を
破らせてまで協力させた所は流石にイライラしましたね。
終盤の最後の最後まで好きにはなれなかったですが、一応
最後に彼女の望みが叶った後の内容はそれまでの発言からは
想像しにくい対応で少しだけ彼女への印象が変わりました。
そして、その後の内容で彼女の内面を中心に描写されている
場面を見た後にようやくある程度の納得が出来ました。正直
これをある程度最初の方に見ていれば、また違った印象で
ゲームを進められていたかも知れませんね。さてさて、次は
3 人目の 阿野 藤 についてです。彼女は一貫して結奈に
対して同じスタンスで接している友人です。ですが、彼女も
彼女なりに色々と考えて結奈に接していた事が分かった後は
素直に良かったなと思いましたね。結奈自身が色々な理由で
人付き合いを最小限に抑えていた事もあって彼女の存在は
とてもありがたかったと思いますし、シナリオの終盤で描写
される結奈の悩みを彼女に打ち明けた後の発言も結奈には
とても心強かったでしょうね。では最後に主人公の結奈に
ついてです。私は正直、少し欠点はあるけど超人の部類に
入ると思っています。勉強が出来て料理も得意。段取りや
タスクのこなし方も上手ですし、エンディング後は運動関係
以外は欠点なしと言っていいのではないでしょうか?そんな
彼女ですが、本編開始前から抱えていた問題と本編中で発生
した問題の 2 つに対する決着のつけ方も満足しています。
本編前の問題の方は、ある意味で彼女が超人であるからこそ
起こった事ではありますが、彼女に深い影響を与えました。
個人的には完全に解決させずある程度 吹っ切れた といった
具合にしたのは上手だと思いましたし、本編中の問題の方は
これまでに様々なカップルの誕生に陰ながら貢献してきた
彼女だからこそ思い悩む訳です。ですが、彼女がこれまで
頑張ってきたからこそ、助けてくれる人もいるわけです。
その辺りが描写されたシーンは本当に良かったです。私は
結奈は主人公ではありますけど、同時にヒロインのような
存在でもあったと思っています。エンディング後の描写は
特にそう思いますね。さてさて、本当はもっと書きたい人も
いるのですがとりあえずこれぐらいで終わろうと思います。
このゲームは本当に魅力的なキャラクターが多く、そんな
キャラクター同士のカップルは更なる魅力を引き出していて
様々な面を見せてくれました。キャラクターの評価は相当
高いですが、その評価に 恥じない出来 だったと自信を持って
言えますね。
Hシーン
スケジュール帳から回想を見る形で各恋人同士にそれぞれ
1 つシーンが存在しています。そして内容については…
ごめんなさい。流石に女性同士の絡みを文字で説明する
のは勘弁してください。内容以外についてですが、それ
までの描写からは想像できない展開だったり、普段は結構
強気だったりクールだったりする人物が押され気味になり
あたふたしたりする場面もありますので、そういった魅力は
あると思います。
最後に一言
終わりよければ全て良し…でいいのかな?
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