タイトル名   メーカー、ブランド名   総プレイ時間  
景の海のアペイリア   シルキーズプラスDOLCE   20 〜 25 時間  
                                       
 
シナリオ
  
 
グラフィック
  
 
音楽
  
 
キャラクター
  
 
総合点数
  
 
個人的評価
  
A+(26/30)    B+(15/20)    B+(15/20)    (27/30)    A(83)    B+   

初めに(前書き)
この作品に関しては ネタバレ をせずにレビューを書くのが難しいです。
 
そのため、作品でオープニングが流れる部分までについては ネタバレ
 
気にせずに書いていきます。それと 理解力と量子力学とSFの知識 これが
 
どのぐらいあるかで評価も随分変わります。それらを理解して頂いた上で
 
納得された方のみにこの後のレビューを読んで頂けたら幸いです。

総評
しょっぱなからあれなんですけど、かなり評価の難しい作品です。理解力の
 
乏しい人は 3 週ぐらいプレイしないと、シナリオを理解したとは言えない
 
のではないでしょうか?更にある程度フォローがあるとは言えSFの知識が
 
乏しいと話についていきにくいと思います。まあ、この 2 点が乏しくても
 
それなりに作品を楽しむ事は出来るとは思いますが。各項目については
 
シナリオは凄いの一言。キャラクターに関しても、えげつないぐらいの
 
主人公の濃さと、それに負けないぐらいのサブキャラクターを用意して
 
います。グラフィックや音楽に関しても及第点以上。グラフィックでは
 
一枚絵の出来に加えて塗りの良さでエロシーンをエロくしているだけで
 
なく、戦闘シーンでの演出の良さも光っていましたね。音楽についても
 
オープニングを作品をプレイする前。作中で初めて聞いた時。そして
 
クリア後とそれぞれで聞くと、歌詞の意味がまた全然違って聞こえて
 
きてより一層好きになれるのではないかと思います。全体的に、かなり
 
ハイレベルな出来と言えると思いますが、まずは体験版をプレイして
 
主人公の 変態性 と作品のクセを許容出来るかを試してからの購入を
 
お勧めします。

あらすじとプレイについて
簡単に書くと 双葉学園、萌えるAI研究会の部長である主人公。霧島
 
零一は、偶然、自我のある人工知能アぺイリアの開発に成功してしまう。
 
そして、実際に触れてみたいとデジタルに存在するアぺイリアに言われ
 
萌えるAI研究会の部員のみんなで考えた結果。アぺイリアの機能を
 
使い、完全没入型VRMMO【セカンド】を作る。剣と魔法と科学の
 
入り混じった世界で、デザイアと言う力を上手く使いながら最初の内は
 
楽しく遊んでいた部員達。だが、ある時を境に【セカンド】は危険な
 
デスゲームと化してしまう。そして【セカンド】にとらわれたしまった
 
アぺイリアを救うため、零一は命がけでゲームを進めていく。そんな
 
中で、零一はある 1 つの仮設にたどりついてしまう。それが、苦しく
 
波乱に満ちた道のりの始まりとも知らずに(大半は公式サイトより抜粋)
 
と言った感じです。
 

総プレイ時間は 20 〜 25 時間ぐらいです。ただシナリオの難解な部分を
 
ほとんど考察せずに進めた場合は 20 時間もかからないと思います。共通
 
ルートはオープニングに入るまでが 4 時間前後。その後、個別ルートに
 
入るまでにプラス 3 時間前後かかります。個別ルートは三羽とましろと
 
久遠は 2 時間半前後。アぺイリアの個別ルートは 3 時間前後と言った
 
感じですね。事実上一本道ですので、攻略順は考えなくていいです。
 
ただ、量子力学やSFの予備知識がないと、一部シナリオの話について
 
いけないので、上で書いたようにプレイを止めて考えるは必要になって
 
くるとは思いますが。

シナリオ
まず、オープニングまでが作品の世界観や謎に気づくまでを描写して
 
います。そして、個別ルートに入るまでが行く手を阻む物を退けながら
 
様々な謎を追いかけていきます。個別ルートでは各ヒロイン達と協力
 
しながら、様々な視点と方法を駆使して、少しずつ相手の正体や謎に
 
近づいて行きます。そして個別ルートのラストで全ての伏線を回収し
 
彼らの物語は完結します。
 

まず、最初に書く事として、これだけ大量の設定と伏線を用意した上で
 
物語として破綻させずに伏線を回収しきった事に 脱帽 すると同時に
 
高い評価をするべきです。確かに不満や欠点がない訳ではありません。
 
しかし、これだけの内容の話を破綻させずに、まとめ切るのは並大抵の
 
力量では不可能です。そこについては素直に評価するべきです。次に
 
本作の特徴の 1 つであるSFの描写についてですが、これは専門用語が
 
色々と出てきてその手の知識がないと中々理解するのが大変です。一応
 
その辺りを理解しやすいように工夫はされていましたけど、私の頭では
 
今でも十分に理解したとは言えないですね。そして、話の構成の仕方。
 
私の感覚としては起承転結がオープニングまでが起。個別ルートに入る
 
までが承。三羽とましろと久遠の個別ルートが転。アぺイリアの個別
 
ルートが結。と言った感じだと思います。まず、主人公とアぺイリアの
 
再開からの急展開。そして相手を自覚してからのオープニングまでの
 
流れ。起承転結の起から承への入り方は抜群に上手でした。逆に結の
 
部分。特に最後の最後の部分。ここをあっさりと進めた事については
 
不満を持っている人が多いと思います。ただこれはエンディング後の
 
あの描写と合わせて考えると様々な 解釈 が出来ると思うんですよね。
 
多くの人は作品的にいえばネガティブな解釈をしていると思いますし
 
それが間違っているとは言いませんよ。ですが、私は作品的にいえば
 
ポジティブに解釈しています。そう解釈出来た最大の理由は主人公に
 
私を重ねて作品をプレイするのではなく、一歩引いて作品的にいえば
 
観測者のような立場で、作品をプレイしていたからでしょうね。正直
 
これ以上はネタバレになるので書けませんが、この作品をプレイした
 
人なら 3 割ぐらいの人は同意してくれると思います。私のシナリオの
 
評価は A+ としていますが、上でも書いた最後の最後の部分。ここが
 
どうしても気になる人と言う人はシナリオの評価が、もう一段落ちると
 
思います。それでも十分に 良作 以上の評価が十分出来るシナリオだと
 
言えます。最後に私が少々気になった点について書いて終わりにします。
 
それは、複数回のプレイが 必要な可能性が高い と言う点です。SFや
 
量子力学の知識が豊富でないと、複数回最初から最後までプレイしないと
 
それらを理解するのは難しいと思います。予めこれらの知識が豊富な上で
 
話の理解力の高い人なら大丈夫だとは思いますが。ただ、それらが低い
 
人にとっては、シナリオを読み進めていく際に 苦痛 を感じる可能性も
 
十分あると思います。もちろん、そうならないように配慮はされていて
 
その辺りの知識が疎い私でもある程度は理解出来たと思っています。
 
ただ、それは複数回最初から最後までプレイしたからであって、初週で
 
シナリオを完全に理解できた人はほとんどいないと、個人的には思って
 
います。明確に欠点と言うつもりもありませんが、プレイヤーの知識や
 
理解力でプレイする人を減らしかねないと言うのはもったいないかなと
 
思いましたね。

グラフィック
悪くはなかったです。グラフィック自体のクオリティーは及第点ぐらい
 
ですが、塗りが結構良かったと感じました。特にHシーンの女性たちが
 
エロく感じたのは塗りのおかげだと思います。それから、戦闘シーンの
 
デザイアでの演出も良かったです。一枚絵に関しては色々印象に残った
 
物も多いですが、個人的に好きなのはやっぱりラストの主人公の零一と
 
4 人のヒロインが一緒に描かれている一枚絵です。ここまでの道のりの
 
はてに彼らが掴み取り望んだ結末ですから。そりゃ色々と心にくる物が
 
ありますよ。もっとも一番印象に残っている一枚絵は、ブックマンが
 
アレを露出している一枚絵ですけどね。

音楽
BGMの 異変 や 驚異 に アぺイリア は割と印象に残ってます。
 
BGMでのメリハリが、結構きいていたので 異変 や 驚異 に切り
 
変わると話が引き締まった印象でした。ただ、やっぱり音楽を語るなら
 
オープニングの アペイリア と、エンディングの 信じられるよ の
 
2 曲は外せないです。どちらも作品によく合っていた曲ではありますが
 
特にオープニングの アペイリア は歌詞がやばかったです。総評でも
 
書きましたけど、聴くタイミングによって歌詞の意味への理解力が全然
 
変わってくるので是非作品クリア後にもう一度聞いて欲しいです。

キャラクター
さて、主人公である零一君ともう 1 人。サブキャラクターのシンカーに
 
ついては、言いたい事が山ほどあるので、最後に回すとしてヒロインに
 
ついて書く事にします。個別ルートがある 4 人。三羽とましろと久遠と
 
アぺイリア。誰が一番好きかと聞かれると、アぺイリアと答えてしまい
 
ますが、零一の 彼女 としてなら久遠の方が合っていると思います。
 
何と言うか、アぺイリアはなんですよ。私の感覚としては。だから
 
アぺイリアの個別ルートでは彼女を零一の 恋人 として見ると、やっぱり
 
違和感が出てしまうんです。零一はその違和感を乗り越えたんですけど
 
私は乗り越えられなかったです。他の 3 人に関しては全員悪くなかった
 
ですけど、ましろの個別ルートがやっぱり印象に残っていますね。ただ
 
これはシナリオの構成の影響もありますが。オープニング後の病院の
 
アレでましろへの見方が随分と変わって、その気持ちをましろの個別
 
ルートまで維持していたからこそ、ましろの個別ルートでのましろの
 
発言の 1 つ 1 つが心に響いたんだと思います。ただ、やっぱり久遠の
 
方が零一との相性は良いと思いますけど。やっぱり、何と言ってもあの
 
零一と長年付き合ってきたからこそのやり取りや距離感は、心地よく
 
感じますね。基本は久遠の方がリードしていますけど、何かあったり
 
いざという時はそっと支えたりする零一。久遠が零一の事を良く知って
 
いるように、零一も久遠の事を良く知っているからこそ、あの関係性が
 
あり 恋人 になった後のやり取りも非常に良かったと思います。三羽に
 
ついては、一度作品をクリアした後にもう一度個別ルートを。出来れば
 
最初からプレイすれば、彼女の秘められた想いが発言の所々に出ていて
 
もっと好きになれると思います。最初のあのシーンさえ、ある意味では
 
伏線になっているんですから、初週では見落としているシーンが、多く
 
あると思います。次にサブヒロイン兼サブキャラクターの正円と沙羅に
 
ついてです。【セカンド】では協力したり戦ったりしますが、それは
 
彼女達にもそれぞれの強い想いがあるからこそです。沙羅のデザイアが
 
零一の絶剣とあそこまで打ち合えるのがその証明と言えますね。次に
 
久遠の父親。一 空観とブックマンについてです。前者は、様々な場面で
 
色々と考えさせられる役回りを担っていました。久遠の個別ルートでは
 
特にそれが極まっていて、読み進めていて何度もハラハラとしました。
 
後者については、シンカーの助手として登場し、シンカー程ではないに
 
しろ色々と謎の多い人物でした。彼の正体は私は全く予想出来なかった
 
ですけど、シナリオを読めば納得は出来ました。さて。いよいよ主人公
 
零一とシンカーについてですね。まずはシンカーから【セカンド】で
 
研究所と言うギルドのリーダーをしており、仮面で顔を隠し、本人の
 
正体は不明と言う謎に包まれたプレイヤーです。彼と零一は幾度となく
 
対立や協力を繰り返しますが、息をもつかせぬ頭脳戦やデザイアでの
 
戦闘の数々。本作での幾多もの名言や名シーンを生み出してきた彼と
 
零一の対決は見ごたえがあると同時にシンカーの凄さを表現していると
 
言えます。また彼の正体の考察は本当に二転三転していきます。そして
 
彼の正体が明かされた時。シナリオは最終局面に突入していく訳ですが
 
そんな中でも彼の存在感はますます増していき零一との最後の激突。
 
最後の最後まで魅力の溢れるキャラクターでした。では最後に主人公
 
零一についてです。彼は 変態です もし、彼が変態じゃないと言う方が
 
いたら、その人の感性が狂っています。そう思う程に彼は 変態です
 
ですが、ただ 変態 なだけではありません。決断力、行動力。頭の良さ。
 
どれをとってもずば抜けていました。アぺイリアの個別ルートの最後を
 
迎えるには、どれ一つとっても欠けていればあの結末には、たどり着け
 
なかったと自信をもって言えます。また、数々の 迷言 名言を彼は
 
作品中で残しています。変態 な彼らしくエロに関係している物も多く
 
ありますけど、真面目な物も多いので彼の魅力を、ますます引き上げて
 
いると言えます。そんな彼の最大の見どころはシンカーとの最後の戦闘
 
シーンです。互いの力と頭脳を駆使し、状況を二転三転させながらも
 
自らの力を振り絞り死力を尽くしたあのシーンは、主人公とシンカーの
 
2人の魅力が最大限に発揮された素晴らしいシーンだったと思います。
 
本当に 変態 な事を除けばほとんど欠点のない素晴らしい主人公だと
 
思いますが、その 変態 な所があったからこそ、アぺイリアの個別
 
ルートのラストのあのシーンにたどり着けた事を考えるとその 変態
 
所も彼の魅力の 1 つと言えるかもしれません。

Hシーン
回想シーンにHシーン以外も収録されるので、三羽とましろと久遠と
 
アぺイリアの 4 人に 4 回とそれとは別に+αで 2 回ぐらいに考えて
 
もらったらいいです。プレイについてはパイズリやアナルなどがあり
 
ますが、個人的には放尿シーンをあのシュチュエーションで用意して
 
いた事が嬉しかったです。あれに関しては零一と趣味が合いましたね。

最後に一言
ラストの解釈は人それぞれ。でもそこに至るまでの流れは評価すべき。




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