タイトル名   メーカー、ブランド名   総プレイ時間  
絆きらめく恋いろは   CRYSTALiA   15 〜 20 時間  
                                       
シナリオ    グラフィック   音楽    キャラクター   総合点数    個人的評価  
B+(23/30)    B+(15/20)   B+(15/20)   B+(23/30)   B+(76)     
 
初めに(前書き)

今回は 絆きらめく恋いろは 単体 のレビューとなっています。
このゲームはファンディスクやスピンオフがいくつか発売されて
いますが、そちらでの評価は当然含んでいませんので、そこは
あらかじめご了承ください。それから、個別ルートでのとある
内容について書いていますが ネタバレ になる可能性が少し
あります。話の核心に触れる内容ではありませんが、少しの
ネタバレ も嫌だという方はこのまま戻ってください。以上の
2 点を理解して頂いた上で読んでいただいたら幸いです。

総評

一部気になる一枚絵はあるものの立ち絵の動かし方や剣戟の
見せ方を考えたグラフィック。オープニング曲の良さと印象が
目立つが他のBGMも悪くはない音楽。サブキャラクターの一部の
言動が気になりはしたが、ヒロインのカッコ良さやひたむきな
部分だけでなく脆さや危うさといった部分との ギャップ
魅力的に感じました。グラフィック。音楽。キャラクター。
それぞれ問題がない訳ではないですが、トータルで考えれば
及第点は超えているでしょう。そしてシナリオですが、これが
中々厄介でして、「天呪」という特殊な能力と「刃道」という
剣道の亜種とでもいうべきスポーツ物。この 2 つを 完全に両立
させることは出来なかった。と私は思います。刃道を中心に
したスポ根シナリオの方が面白いと感じましたが別に天呪を
中心としたシナリオがダメだったと言うつもりもないです。
ただ、わざわざルートロックを掛けたラストの桜夜の個別
ルートがどうしても私は引っかかるんですよね。この部分は
詳しくシナリオの方で書きますが、私が引っかかった部分が
気にならない人なら 良作 だと自信をもっていえるゲーム
ではあるんですけどね。

あらすじとプレイについて

簡単に書くと 現代とは少し異なる発展をした近未来の日本で
天呪という精神的な力を物理的な力へと変える能力を取り入れた
剣道の亜種。刃道を学ぶ学園を舞台にした少年少女の青春と
恋の物語………(一部公式サイトより抜粋)といった感じです。
 
総プレイ時間は 15 〜 20 時間です。共通ルートが 2 時間
前後で、個別ルートも大体同じぐらいです。攻略順について
ですが、桜夜の個別ルートのみ最初はロックが掛かっていて
椿、しおん、フリージア、の 3 人の個別ルートをクリアする
事によってロックが解除される形となっていますが、最初の
画面から EXTRA MODE で強制的にロックを解除する事も
出来ます。しかし、桜夜の個別ルートを最初にプレイしても
特にメリットを感じないので、通常通りに一番最後でいいと
思います。桜夜以外の 3 人の攻略順については誰からでも
いいです。私は しおん→フリージア→椿→桜夜 でクリア
しましたが、桜夜の話は天呪関係の内容が多いので、しおんと
椿を逆にしてもいいかもしれませんね。まあ、この順番でも
大きな問題はなかったですが。

シナリオ

共通ルートでは刃道や天呪についての説明と同時に主人公や
ヒロイン達の境遇や葛藤の一部を描きながら、主人公がとある
選択をする所までを描写しています。個別ルートでは刃道を
中心とする話と天呪関係の内容を中心とする話の 2 つの方向に
分かれていきます。
 
まず、はじめに、本作では用語解説が存在しており、本作の
世界観や独自用語の解説がされています。これらのおかげで
色々と独特な本編での内容が多少は理解しやすくなるのでは
ないかと思います。では、本作でのシナリオについてですが
刃道と天呪。身も蓋もなく言ってしまえば、前者はスポーツ物。
後者はファンタジー寄り。と表現していいと思います。このように
2 つの要素でシナリオを構成した場合。どちらが良くてどちらが
ダメかという論争が起きる場合が多いです。本作では恐らく椿の
個別ルートの評価が高くなる傾向が多いはずです。それは公式
サイトの一文の「青春と恋の物語」そしてジャンルの「近未来
カタナ学園活劇」このどちらにも該当した上で、スポ根物として
王道の展開をおさえながらも、椿の葛藤や問題を主人公が中心に
なりながら上手く解決していく話になっているからです。では
天呪。つまりファンタジー寄りのシナリオの方はダメなのかと
言われるとそういう訳でもないです。ファンタジー寄りの方は
しおんと桜夜が該当すると思いますが、しおんはスポーツ物と
ファンタジー寄りの両取りといった方がいいかも知れません。
こういう両取りもあまり上手くいく事は少ないですが、これに
ついては、まあ悪くはない程度には収まったかな?という感じに
なっています。しおんの個別ルートは しおんの成長 が 1 つの
テーマになっていると私は思っているので、スポーツ部分でも
ファンタジー部分でもソレは大きくブレなかったので、そこまで
違和感が少なく読めたという所が大きいのかなと思います。ただ
問題は桜夜の個別ルートです。わざわざルートロックまで掛けた
この個別ルートはまさにこれまでのまとめとでもいうべき内容で
これまで謎だった部分がいくつも明かされます。ファンタジーの
部分に大きく寄っていて、これまでの個別ルートと比較すると
どうしても違和感が大きくなりがちです。しかし 最終的には
上手くまとめてはいます。ただ、そこに至るまでの過程に不満が
ありまして…桜夜の個別ルートでは椿の姉である都子が色々と
動きます。桜夜の個別ルート以外での彼女はヤバい所はあるけど
悪い人ではなさそう。が私の印象でした。しかし桜夜の個別ルート
での彼女の言動は……そうですね ネタバレ しない範囲で書くと
狂人 でよいのではないでしょうか?まあ、別にその事自体に
問題があるわけではない……と一応しておきますが 狂人 なら
狂人 なりの末路が必要な訳ですよ。本作風に言うなら然るべき
「ケジメ」をつけて欲しい訳です。しかしその部分をなあなあに
描写されるとやっぱりどんなにキレイにまとめてもモヤモヤする
訳です。その部分がどうしても私は気になりましたね。最後に
フリージアの個別ルートですが、こちらはフリージアが戦う人
ではなく、戦いをサポートする側という事もあり、戦闘描写
自体も悪くはないのですが、やや盛り上がりに欠ける部分が
目立ちました。ただ、他の 3 人の個別ルートでの出番が少ない
キャラクターの戦闘描写が結構多いので、そういった部分での
面白さはありました。各個別ルートは大体こんな感じですかね。
共通ルートではヒロイン以外だと綾瀬の自由さが割と描写されて
いましたね。彼女の存在も ネタバレ なので、詳しくは書けない
ですが、本編クリア後に彼女の発言をもう一度見返してみると
初回時とはまた違った印象を受けますね。シナリオ全体の評価は
B+ としていますが、フリージアの個別ルートはそれ以下で
椿の個別ルートはそれ以上の評価。それらを加味して最終的に
この評価としています。

グラフィック

一部の一枚絵(特に桜夜関係のもの)に違和感を感じたので
もう一段評価を下げようかと考えましたが、立ち絵を用いた
動かし方や剣戟の表現など出来を考えてこの評価にしました。
各ヒロインクリア後にタイトル画面に一枚絵が表示されますが
これに関してはフリージアの一枚絵が良かったですね。彼女の
元気な明るさがよく表現されています。それ以外の一枚絵だと
椿のラストバトルでの羽が舞う一枚絵が好きですね。あの場面は
BGMとの融和性も高く新たなる彼女を見た一枚絵でした。

音楽

エンディング曲の 双繊月〜歩きたりこう共に〜 や挿入歌の
EVERLasT/nG StreNGTH も決して悪くはないんですが、やはり
オープニング曲の 可憐雪月花 の印象がずば抜けて強いですね。
個人的には椿の個別ルートで流れた時にの出だしではなくて
サビ部分の「強さの証明。存在定義」の部分が椿の個別ルートに
良くマッチしていたと感じています。BGMに関しては近未来を
イメージしているように感じる物が多く DiVELINKAGE などは
その筆頭といっていいのではないでしょうか?そんな中では
古眠刻刃 はそんなイメージとは全然違うを感じる物だった
事もあって印象に残っていますね。全体的に 可憐雪月花 の
印象が強くて良い曲でしたが、それ以外の曲が、もうひと伸び
足らなかったと感じたので、この評価としています。

キャラクター

まずは各ヒロインについてですが、一番好きなヒロインは椿…と
言いたいですがしおんの方が好きですね。椿の主人公に対して
普段は姉のような言動をしながらも、所々で見せる幼い部分との
ギャップ も好きでしたけど、椿の個別ルートで描かれる自身の
抱えている問題や心情描写が上手だったと感じたので、より好きに
なっていきました。しかし、しおんの序盤の言動からはとても
信じられない 強さ を見た自身の個別ルートラストの発言の方が
私の心にはささりました。主人公と出会った頃は刃道の試合で
負け続け、悔しさのあまり泣きながら退学も考えていた少女が
主人公と出会い心身共に強くなっていく。そして、その過程で
見える彼女の頑張り屋な部分や強い相手にも立ち向かっていく
シーンが椿よりもグッと来ましたね、欠点をあげるとすれば
告白シーンですかね。まあ、あれは好みの問題とも言えますが
個人的にはもう少し主人公に頑張って欲しかったです。さて
フリージアと桜夜についてですが、前者はシナリオ部分での
盛り上がりに欠けた部分の影響が出たかなと考えています。
フリージアは戦う者ではなく、あくまでサポート役ですので
そういった部分の難しさが出たかなと。後、主人公を慕って
くれる後輩という部分がしおんと被ってしまったのもマイナス
部分ですね。後者に関しては大きな問題があった訳ではない
ですが、あえて言えば友情が恋愛に変わる部分の描写が少し
弱くて少ない所が気になりましたね。もちろん描写していない
訳ではないですしそれなりの尺は使っていますが、個人的に
十分納得できるだけの内容とインパクトが無かったです。一応
しおん≧椿>桜夜>>フリージア が私のヒロインの好きな
順番です。椿とは確かに差はありますけど、フリージアよりは
好きですよ。あっ。別にフリージアが嫌いという訳ではない
ですからね。さて。次はサブキャラクター達について書きたい
所ですが、先に主人公について書きます。本作の主人公は一応
戦う人をサポートする側ですが戦う力もかなりの物を持って
います。その辺りの事は特定の個別ルートで詳しく描写されて
いますが、戦う側でもサポートする側でも魅力的な描写は十分
ありましたので、そこは特に気にしていません。個人的には
椿への告白シーンが良かったです。あそこの椿に寄り添う描写は
本作の中でもトップクラスにカッコ良かったですね。最後に
サブキャラクター達についてですが、主人公のクラス担任の
巫琴や同級生の萌生菜やひばり。先輩の葵にある意味で重要な
綾瀬など多彩なキャラクターがいますが、個人的には萌生菜と
葵が印象に残っていますね。綾瀬もそうなんですが、彼女は
色々と ネタバレ が多いので今回は省きます。さて、まずは
萌生菜についてです。主人公と同じクラスの彼女は単純で調子に
乗りやすい性格ですが、学年でもトップクラスの実力者で
刃道には真剣に向き合っています。彼女の良さはしおんと
フリージアの個別ルートで描写されています。特にしおんの
個別ルートではとしてしおんの前に立ちはだかります。
彼女の存在がしおんの魅力を更に引き出すアクセントになって
いましたね。葵については主人公の先輩で椿のライバル…と
言ってもいい存在です。しかし、椿から見た葵。葵から見た
椿。ここには違いがあります。ここが椿の個別ルートの鍵と
いってもいい部分で、この関係性の描写はある意味ありきたり
ではありますが、グッと来ましたね。椿の個別ルート以外だと
葵の魅力は少し落ちてしましますが、そんな事が気にならない
ぐらい椿の個別ルートは葵が輝いていましたね。さて、サブ
キャラクター達の最後に都子についても書いておきます。彼女は
椿の姉で、朱雀院の姉妹の中で最強の実力の持ち主です。本作の
描写の中でもそれを証明するシーンがいくつもあり、それを
否定はしませんが、彼女の扱い方を持て余した結果が桜夜の
個別ルートでのあの描写に繋がったと私は考えています。正直
都子に対する モヤモヤ したこの気持ちがなければ、もう一段
キャラクターの評価を上げても良かったんですよね。桜夜の
個別ルート以外での彼女の言動の ギャップ で余計にそう感じて
しまいます。

Hシーン

回想シーンに各ヒロイン 3 つずつ登録されています。本編では
2 つしか流れず、クリア後に 3 つ目が登録されて回想シーン
から閲覧が出来ます。プレイについてはフ〇ラやパイ〇リに搾〇
などがありますが、フリージアに放〇シーンをあれだけ用意
するならもっとこだわって欲しかったですね。まず 焦らし
足らないですし、放〇した後に直ぐ挿入は芸がないです。
あそこは、出た後に(個人的には出し方も工夫して欲しい。
具体的には勢いの強さや発言等)ヒロインの反応等を確認して
からの……(これ以上書いても誰も得しないのでここでやめて
おきます)…まあ、私の事情を考慮しない場合でもシーン数と
しては 3 つなので、若干物足りなさを感じる人もいるとは
思いますね。

最後に一言

都子の扱い方にケチはつけましたが、それ以外は 良作
範疇だと思います。


 
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